完熟堆肥と未熟堆肥の違い
未熟堆肥とは未だ熟成されていない堆肥のことです。
未熟堆肥だと、葉や木の枝などの原形が残っていたり、強い臭いがします。
それに対して完熟堆肥というのは有機物の分解が進み、くさい臭いがなく、水分が蒸発し、手で触るとフカフカした感触の堆肥のことをいいます。
未熟堆肥は堆肥の原型ですから、本来は悪いわけではありません。
畑や菜園に投入しても、作付けまでの時間的な余裕があれば、土の中で有機物がゆっくり分解して良い堆肥になります。
しかし、その時間的な余裕がないまま、まだ途中段階のものを土に投入して、種をまいたり植えつけたりするとよくないです。
というのも微生物が土の中で活発に活動して、土中の窒素が欠乏したり、二酸化炭素が大量に発生したりして作物に害を与えるからです。
また、分解の途中段階で、有用微生物が増えると同時に、病原菌の活動も活発になりますから、病原菌が作物の根に侵入して被害がでます。
①虫の幼虫に根を切られる
②病原菌が根に侵入し被害が出る
③生育障害(又ダイコン、ジャガイモの皮が荒れるなど)
④有害な有機酸やガスが発生することによる発芽障害
⑤微生物が活発になり、土中の窒素が欠乏する
未熟な堆肥を使う場合
未熟堆肥は、材料の原型が残っていたり、臭かったり、握ってみると水分が出たりします。
堆肥は作付けの2〜3週間前に施しますが、未熟な堆肥を使うときは、少なくとも1ヶ月以上前に施して、土の中で十分分解させてから作付けすることが重要です。
その際、深く耕して投入すると分解が早く進みます。
完熟堆肥の見分け方
完熟堆肥と未熟堆肥の見分け方で大切なのは、臭い、湿り気、色などです。
家畜ふんや生ゴミなどの材料の臭いは、発酵・分解が進むにつれて減少していきます。
分解の遅いオガクズの場合は、その臭いは堆肥を水で洗い、オガクズだけを取り出して判断します。
未熟堆肥の状態だと、使った材料そのものの臭いがします。家畜ふんの場合はなおさら強い臭いがします。
良い堆肥は、生のふんの臭いがしなくなり、緑の下の土の臭いがすると言われています。
この臭いは放線菌の活躍によるものです。
さらに発酵・分解が進むとエサが消費されて、放線菌も少なくなります。
そのため、完熟堆肥では、意外に土の臭いはしないものです。
又、堆肥の材料に米ぬかやデンプン質のものを多く使うと、腐熟の後半の段階で甘酸っぱい臭いがするものがあります。
これは糸状菌によって作られたヌカの臭いです。
以下に完熟堆肥の見分け方を4つにまとめています。
①家畜ふんの臭いがしない
堆肥に水を含ませたとき、ふん臭があるのはまだ未熟です。
ベタベタと粘り気があるのもまだ発酵が不十分な状態です。
②手の平で揉んでも素材の臭いがしない
作った堆肥を水に浸けて、両手の手のひらで揉むように洗います。
オガクズやバークがまだ塊で残っていることがあるとき、その臭いをかいでみて、素材の臭いが残っているようであれば、まだ未熟状態です。
③堆肥がどの部分も同じ状態である
堆肥の塊を割って、中の状態を見てみます。全体が同じ状態なら完熟で、真ん中の部分の色が違っていたり、ふんの臭いが残っていたりしたら、発酵が不十分ということです。
④熱湯を注ぐと液が黒っぽくなる
耐熱性のコップに堆肥を5分の1ほど入れて、そこに熱湯を注ぎます。
そのまま放置しておくと液が黒っぽくなり、底に沈殿物が溜まってきます。
良い堆肥は、液面に浮いているゴミが少ないこと、液の色が濃いこと、コップの底から液面までの液が濃淡の滑らかなグラデーション状であることなどがチェックのポイントです。
おわりに
この記事では、完熟堆肥と未熟堆肥の見分け方についてまとめました。
また、下記では、堆肥の使い方についてまとめていますのでこちらもあわせてご覧ください。