1.症状と被害
苗の病気で、リゾクトニア菌とピシウム菌という土壌にすむカビによって引き起こされます。
リゾクトニア菌は高温で土が乾燥気味の時に発生しやすく、ピシウム菌は25℃前後の多湿の時に多発します。
どの野菜も感染する可能性があり、感染すると苗の胚軸部分がしおれてくびれた状態になるほか、胚軸や根が腐りだして倒れてしまいます。
育苗中は冬でも保湿しているため、時期を問わず発生し、直まきの時も発生条件が揃えば、病気が出ます。
本葉3枚までの間にのみ発病し、それ以上大きくなった苗には発生しないのが特徴です。
2.苗立枯病にかかりやすい野菜・植物一覧
オクラ、小松菜、野沢菜、玉ねぎ、ダリア、トウガラシ、ピーマン、トウモロコシ、ナス、トマト、ネギ、ほうれん草、キャベツなど
3.原因と伝染経路
リゾクトニア菌とピシウム菌という土壌にすむカビの中で被害植物の遺体に繁殖して菌糸を進展させ、苗木の根に伝染します。
土壌中に長く生存し、土に敷かれたワラなど分解が不十分な有機物があると繁殖しやすいです。
また、土壌が乾燥と過湿の状態を繰り返すと根に傷害ができ、そこから感染してしまうこともあります。
4.防除と対処法
病原菌は土の中にいて、根の傷口から侵入するため根を傷つけないことが何よりの防除法なので、移植の時などは十分注意しましょう。
また、発病地での連作は避けて、排水管理と土壌の養分管理に注意を払います。
土壌中に未分解の有機物があると発生しやすくなるため、種まきの3〜4週間までに土作りを済ませておき、堆肥を使う際は、完熟堆肥を使い、水はけをよくして育てます。
土壌にカニ殻をすき込むと、土の中で放線菌がキチナーゼ酵素を出やすいのでリゾクトニア菌を減らせます。
また、トリニデルマ菌はセルラーゼ酵素をだしてビジウム菌を減らす力があります。
密植状態で、水はけが悪いと発生しやすいため、適切な株間になるようにこまめに間引きをすることが大事です。
育苗する場合は過湿に注意し、育苗土は大きなタライに入れて水に加えて混ぜ、しっとり湿る程度にしてからポットに入れます。
育苗土を握ると団子になり、指で押すと崩れるぐらいの水分量にし、タネをまいたら、湿らせた育苗土を上からかぶせて、手でしっかり鎮圧しましょう。
直まきするときは、畑の水はけをよくして、発芽の揃いをよくしましょう。
5.治療方法【薬剤・農薬】
発病したら
発病した苗を治すことはできないので、種を追いまきして育て直しましょう。
同じ土に種をまいても、発生条件が揃わなければ発病しません。
効果のある薬剤・農薬
発病してからの薬剤による防除は難しいので、予防として草花全般、野菜類全般にはオーソサイド水和剤を種にまぶしたり、土壌に混ぜ込んでから種をまいたり、定植したりします。
キュウリやトマト、ネギなどにはダコニール1000を散布します。
おわりに
この記事では、苗立枯病の原因と防除方法について紹介しました。
下記では、他にも様々な野菜の病気・害虫について一覧にしてまとめていますので、コチラもあわせてご覧ください。